海に雨粒が落ちる光景をみたことはある?僕はある。僕が育った町の駅を挟んで向こう側には驚くほどすぐ海が広がっていて、高校生の頃僕はよく学校帰りにその海で図書館で借りてきた本を読んだり、食べきれなかったお弁当を食べたりしていた。夕立というものには京都に来てから初めて出会ったけど、たまにその海にも一瞬だけ雨が降ることがあった。僕はビニール傘を広げて、水面も様子をじっと見ていた。時間はどんどんすぎていって、すぐに雨が上がって夜がきた。
海のそばの小さな町に雨が降る時、彼女が住む町に雨が降る時、彼が住むParksに雨が降る時、それぞれはそれぞれの町の天気のことを考える。空模様が違うぐらいにはなればなれになってしまったことを、素直に寂しく思いながらペンは手紙を書き進める。