CD / PECF-1116 / 2,300yen (+tax)
felicity / SECOND ROYAL RECORDS
2014.12.24 RELEASE

Homecomings

Somehow, Somewhere

01. SETTLE DOWN
02. DANCING IN THE MOONLIGHT
03. GREAT ESCAPE
04. MALL
05. WINTER BARGAIN
06. SOMEWHERE
07. LEMON SOUNDS
08. I WANT YOU BACK
09. PAPER TOWN
10. GHOST WORLD

Music Video

Interview

前編後編特別編全曲紹介

昨年のクリスマス・イヴにリリースされたホームカミングスのアルバム『サムハウ・サムホエア』は、バンドが一回りも二回りも成長したことを広く知らしめる作品となった。商業的にも、オリコンのインディーズチャートで2位を記録と、及第点以上の成功を収めている。その一方で、彼らが今作で遂げた“偉大なる変化”については、現在のところ、しっかりと検証されているとは言いがたいだろう。このインタビューでは、メインのソングライターをつとめる2人、畳野彩加と福富優樹にこの1年で起きたモード・チェンジについて、徹底的に語ってもらった。まずは本編にあたる前編と後編、そして最後にはひと味違う角度からの番外編で『サムハウ・サムホエア』を読み解いていこう。まずは、最終曲“ゴースト・ワールド”を端緒に、ソングライター・チームとして、リリシストとして、双方の面での成長へと迫った前編をどうぞ。
interview by 田中亮太

すでにレビューなどが表に出てきてますが、印象に残ったものなどありました?

福富
MUSICAでカジさんがすごい褒めてくれて。
畳野
最高やった。わかってくれてる感があった。

逆に、これまでバンドについて書かれたもののなかで、一番しっくりこなかったものは?

畳野
私はけっこうあって。青春とか書かれると。
福富
でも、それはそう聴こえるやん。
畳野
そうかなぁ。
福富
ジャングリーとか嫌やなーって思うけど、まあこれまで出てた曲はみんなジャングリーとかやし、ミニ・アルバムと『アイ・ウォント・ユー・バック』しか出てなかったら、そりやぁそうとらえられるよなって。あんまり的はずれやなって思うのはないかな。ユースウェイヴくらい?ホームカミングスはユースウェイヴじゃないって言われたことが(笑)。
一同
(笑)。
福富
言われたことに「違うよ!」ってのはないけど、アルバムで違う風に思われるようにしたいなってのはあった。

ギター・ポップ、ギター・ロック、オルタナティヴ・ロック。バンドをどう言われるのが一番しっくりきます?

福富
オルタナティヴではないよね?
畳野
ない。ギター・ポップなんじゃない?ロックまでいってないし。
福富
でも、それがジャングリーとかでもないイメージ。

今回のアルバムはジャングリーとかは無縁に、ロックな側面を臆さず開放した印象です。

福富
だからネオアコ・バンドのファーストとかってかかれるとちょっとムウってなる。そもそも僕らのなかではファーストだけどセカンドみたいなところがあって。今までの路線とはBPMとか曲調とかにも違ってるから。
畳野
うん。展開とかもベタだしね。わたしヴォーカル入れてるとき、すっごい恥ずかしくなったもん。

ベタってのは具体的にどの曲を指して?

畳野
“ゴースト・ワールド”とか、すごいベタだと思う。最後にヴォーカルが出てくるとことか、すごい恥ずかしい。
福富
“ゴースト・ワールド”はベタやから恥ずかしいっていうより、たぶんコード進行が今までになくて。今まで避けてきたコード進行を使ってる。だから、僕は展開というより曲調かな。僕らがはじめて使った響きで。その響きがちょっと恥ずかしい。

そっか。僕はアルバムのなかで、“ゴースト・ワールド”に一番びっくりさせられましたけどね。曲の展開の妙だったり演奏面の出し引きだったり。

福富
へー、そうかー。でも、それって僕は伝わらないと思ってた。いつもどおりのホームカミングスの曲みたいな感じって言われるかなって。
畳野
私もそう思った。
福富
“グレート・エスケープ”とかで結構びっくりしたけど、“ゴースト・ワールド”で「あー今までのホームカミングスみたいな感じで終るのかー」ってなるかなって。やってる方は今までと明らかに違うんですけど。7インチでも、B面は今までのジャングリーってコメントで書かれてるから、ああそうかなって。
畳野
なんでだろ。イントロのギターとかかな。
福富
だから亮ちんがそう言ってくるのは意外。“ゴースト・ワールド”ってインタビューとかでは省かれるような曲やろうなって思ったから。

アルバムで一番すごい曲だと思ったけど。

福富
マジですか。
畳野
信ちゃん(小山内/レーベル社長)もそういうこと言ってたよ。

最後の2曲がとにかく圧巻に感じましたね。

福富
小山内さんは、“ゴースト・ワールド”をシングル的な展開でPVを作るっていう意向があったみたい。それもあって7インチに入れたと思うんですけど。ただ、本人たち的は、「この曲や!」ってのはあまり意識してない。

だって、“ゴースト・ワールド”は次から次に良いメロディが出てくるじゃないですか!

2人
うふふ。
畳野
凝ってはいるかも
福富
“ゴースト・ワールド”は展開がどうとかコード進行がどうとかっていうよりも、メロディが良いから良いみたいなところがある。これでメロディが良くなかったらボツになってた。他の曲はメロディじゃなく、こういう曲がやりたいっていうサンプリング的な感じで作ってるんですよ。リズムをよそから持ってきて組み合わせたりとか。でも“ゴースト・ワールド”には、それがなくて。
畳野
なかったね。とりあえず最後の曲、最後にこうガッ!って強い曲を入れようって作った感じで。だから、コード入れてリズム乗っけてて感じやったよね。
福富
ほんとにもう勢いでバーって作ったイメージがある。
畳野
だから逆にあのコードなのかな。
福富
でも、ここまで話が出てくるのは意外だなー。
畳野
アルバムのなかでも薄いほうだと思ってた。

最後の曲として作ったって言ってましたが、アルバムの流れみたいなものは早い段階から決まってました?

福富
アルバムの全体像は最初にあった。
畳野
そう。アルバムの構成やテンションは。
福富
1曲目、2曲目、3曲目、で真ん中にこれがあって、最後にかけてこういう感じにしようって。で、最後の曲は“ゴースト・ワールド”って名前の曲。だからこそ“ゴースト・ワールド”は後回しにしてた。他の曲は作り方も複雑な感じだったから。
畳野
しかも新しいことをしようとしとったからね。リズムとか。

新しいことってのは、曲で言えば“グレート・エスケープ”“レモン・サウンズ”“サムホエア”とか?

畳野
“セトル・ダウン”も新しいことをしたと思う。

うんうん。今までの曲よりもテンポが遅くて、どっしりとしたグルーヴがある。2014年3月の感染ライヴでホームカミングスを見た時、もう速い曲やんなくていいのになと思ったんですよね。“レイク”とか遅めの曲のほうが今のバンドにははまりが良い気がして。だから、新しい路線は個人的にはどんばまりだった。

畳野
へ~(笑)。
福富
3月とか4月らへんのライヴって自分らもしんどいってわけじゃないですけど、
畳野
うん。自分のやりたいことと自分らのできる曲があってなくて。こんな感じのテンション辛い!って思いながら。
福富
もう“サンデイ”とかやるのは、
畳野
すごいつまんなかった!(笑)
福富
つまんない(笑)。そう、アルバムの曲を作りながら、ライヴもしてたから。
畳野
なんでこんなんやらなあかんの、くらいには。

3月の感染の時点でってことは、曲作りはにはかなり長い時間をかけてたんですか?

福富
集中して4月から3ヶ月くらい。ストックした曲ではなく、シングルの“アイ・ウォント・ユー・バック”“ウィンター・バーゲン”以外はすべて一から作った。だからテーマを決めて期間を絞ってって感じ。感染ライヴの時とかはもうこの2人のなかでイメージはあって、その最初のイメージからこのアルバムは外れてないんで。だから、新しいアイデアはすでにあるのに、できる曲は古いものしかないみたいな。そういう時期でしたね。

夏までに作曲をして、そのあとに編曲?

福富
いや、それも同時進行でしたね。僕と彩加さんが元ネタを作って、もう次の日にはスタジオで披露して。まあ僕らはパソコンとかを使わないので、
畳野
弾き語って。
福富
今回はもうほんとに具体的でした。今までのコード弾いて鼻歌ふふ~んとかじゃなくて、リズムはこの曲のこれとかって具体的なイメージがあって持っていったって感じでしたね。
畳野
なんとなくね。この2人に良いコンビ感がでてきて。このアルバムで。前までは、
福富
いびつな。
畳野
そうそう。前まではやってても、ぼやっとしてて。どっちかが考えてやってる感じが強かった。でも今回は2人でやった感が強くて。トミーは「こんな曲にしたい」ってアイデアを出してくれて、それで私が「わかった!」って言って、これはこれはっていろいろ試したり。で、トミーのリード・ギターからできた曲もあって、“グレート・エスケープ”とか“レモン・サウンズ”は、完全にトミーが「このギターが弾きたい」ってのから、「それでいこう」って作ってったり。なんかね、協力、大協力して。やっと。
福富
だから、あれじゃないですか。小沢と小山田のdouble knockout corporationみたいな、やっとそれになれました。
畳野
顔も似てるって言われるしね(笑)。トミーがオザケンで(私が)小山田。
福富
ほんとにその感じは、このチーム感みたいなのは、
畳野
チーム感は強くなったね。だってトミーはもうあんまギターを持たないようになっちゃって。
福富
口で。
畳野
そう、口で言ったり。YouTube開いたり。
福富
あとはCDをたくさん持っていって、
畳野
で、私はずっとギターを弾いてて。曲を聴いて「じゃあわかった」って言って、適当にギターを弾いて、「ああ良い良い」って言ってくれて。私も「良い良い」って言われたら、さらにやる気が出るから。褒められて伸びるタイプだから。
福富
じゃあ、「ここはこうこうで、こういう音にして」って言って。
畳野
そうそう。じゃあ、「ここはこうしたら」ってそのコンビネーションがすごい順調に行ってて、うちらはね。だから、曲の作り方はわかったね。だいぶ。
福富
それが今回のアルバムの一番大事なトピック。
畳野
コンビ感が出てる。歌詞も偶然だけど綺麗に半分半分になってて。全然意識してなかったけどね。どっちかが書くってのを適当に決めたら、ちょうど半分になって。

歌詞の書き手はどうやって決めるんですか?

福富
それは曲に対するイメージがある方かな。僕が主導で作った曲だったら僕が書くとか。明確な分け方はないんですけど、なんとなく。
畳野
私が弾き語りで作っちゃった曲、“サムホエア”とかはそのまま私が歌詞を書こうって。“グレート・エスケープ”と“レモン・サウンズ”と“ダンシング・イン・ザ・ムーンライト”と“ペーパー・タウン”はトミー。

和訳の一人称が僕なのが福富くんの作詞?

福富
たぶんそうですね。
畳野
私は、彼とかは使っても僕は使ってない。
福富
逆に僕は彼とかは使ってない。
畳野
僕が中心やもんね(笑)。
福富
やな言い方するな~
畳野
僕が中心の歌詞じゃない?

でも、私の思いが強く出てる歌詞もありますよね?

畳野
でも、あれは全然自分のこと書いてなくて。結構トミーの歌詞って自分のことからヒント出して書いてる。経験とかこう思ったとか。私はまったく自分のことを書きたくなくて。だから全部他人のことを書いてるつもりでいる。だから、そっけないというか、トミーの歌詞だと思いが入りすぎてるくらいなんだけど。
福富
彩加さんは物語を俯瞰して書いてる。
畳野
そうそう。外から見てる感じで。だから重いようでそっけないというか。“ゴースト・ワールド”とかも結局最後は開き直ってるし。

時期によって特定のモチーフが何曲かにまたがってることってありますか?

畳野
どうだろうな~。

というのも“アイ・ウォント・ユー・バック”と“ウィンター・バーゲン”とシングルに入ってる2曲は、同一キャラクターを歌ったものかと思ったんです。あの2曲の歌詞ってすごい似てるじゃないですか。

畳野
めちゃくちゃ似てる。

切ない片想いの歌詞なんですけど。

畳野
でもその頃切ない片想いしてないからね。

自分以外の誰かを見てそういう歌詞を書いたって可能性もあるのかなって。

畳野
あー、でも単純にその頃は、あんまり歌詞に愛着がなくて。ほんとうに正直に言えば!

ははは。アルバム中一番ストレートなラブソングだから、そこがつまらないとも言えなくない。

畳野
そう一番つまんない!

でも、アルバムでこの2曲が出てくると少しほっとするんですよね。

福富
逆にガチガチすぎな感じを弱めてくれてるのかな。

福富くんの歌詞は福富くんイメージが満載なんだけど、畳野さんの歌詞はドライなので。

畳野
うん、ドライですね。めちゃめちゃ。

そこで“アイ・ウォント・ユー・バック”みたいな曲が入ると、

福富
ウェット?
畳野
うん、超ウエット。

ちょっと違う風が吹くというか、ガーリーな。「良いな」って思いました。

畳野
あー良かった。ドライばっかりだとね。
福富
(畳野に向かって)片想いしたことないもんね?
畳野
いや、あるある!(笑)
福富
むか~しでしょ?もう10何年間はしてないでしょ。
畳野
はははは。そうやね。

夜だったり街だったり、出て行った人のことだったり去ることについてだったり、共通のモチーフがアルバム中にいくつも出てくると思うんですけど、描くことのすり合わせって2人であったんですか?

畳野
それぞれの曲でイメージがあって。だから、その時その時で話し合ったって感じかな。
福富
全体のイメージもそう。町っていうテーマだったり寂しげなムードってのも。単純に同じ映画見たり、そういうのもあるかも。『ゴースト・ワールド』とか『トゥルーマン・ショー』とか。
畳野
私は『トゥルーマン・ショー』に衝撃を受けて。どんな映画かまったく知らずに見たから、最初ドキュメンタリーが始まったんだと思って、何回もメニュー画面で本編に戻る、本編に戻るってやって(笑)。でも、どうしてもあのおじさんが喋りだすから「なんだこの映画」って。トミーが間違えてメイキング買っちゃんだなって。とりあえず見続けてたんですけど、町がセットだったってわかる場面で、私もすごいびっくりしちゃって。
福富
ふつうはそういう映画ってわかって見るじゃないですか?トゥルーマンと同じタイミングで驚くっていう珍しい観客。でも、音楽にしても映画にしてもそういうのが多かったね。
畳野
そうだね。けっこう2人で共有しあいまくっとったから、たぶん自然と。2人とも町のこと書いてるし、すぐ町出てくるし、すぐどっかいっちゃうしみたいな。
福富
単純に2014年にすごい仲良くなったとかではなくて。2013年がすごい仲が良くなかった。
畳野
(笑)。
福富
2013年作った曲って“レイク”と“テリー”しかないんですよ。その2曲しか作ってなくて。距離がね、なんとなくあったよね?
畳野
うん、あったんじゃない。生活の距離が。
福富
まあ、大学を卒業するとかいろいろあって。
畳野
それで引っ越してたぶん落ち着いたんだろうね、うちらも。
福富
なんか全部が全部うまくいったなーって。タイミングが良かったよね?
畳野
ねえ、すごい良かった。
福富
卒業して働き出して、
畳野
で、トミーはタワレコで働き出したから、いろんな音楽を聴くようになるし、いろんな映画のDVDを買うようになって、それで私もその映画を見てっていう。
福富
彩加さんもな、働き出して。ちょっとそれで変わったもんな。今までグウタラしてたのからちゃんとして。
畳野
なんかね、ちゃんと自分のことをやろうって思うように変わった。

メンバー全員が社会人になったことで、リズム隊の2人との関係性にも変化はありました?

2人
うーん。
畳野
逆に言うと、2013年の私らが学生であの2人が社会人ていう時があんまり良くなくて。やっぱり距離あるし、うちらは学生で時間もあるし、自由な時間が多いし。で、単純にあの2人は時間ないし。うちらがライヴしたいって思ってても、仕事だからってなるから。そういうすれ違いもあるし。たぶん気持ち的にもね、うちらが前に前に行ってたのかなあ。
福富
ていう感じやったけど、うちらも、
畳野
そうそう、こことここもバラバラだったから。まあ、その時はそんなに思わなかったけど、今思えばすっごいバラバラだったと思ってる。
福富
まあ、社会人になってやっと先輩とか後輩とかじゃなくて、
畳野
フラットな感じになって、みんなそれぞれ時間も合うようになって。時間の感覚も。
福富
誰かが深夜働いてるとかでもないから。みんなお昼に週5で働いて、仕事終わりに練習して。
畳野
で。ライヴしてって流れが今ちょうど良い。その流れの感じで曲も作ってたから、タイミング的に状態的にも、すごいちょうどいいくらいになったのかな。
福富
うちらふたりは社会人になったばかりのフレッシュ感もあったし。新しい生活で曲を作るっていう。
畳野
新しい町に住み始めたって部分もね。
福富
そこに住みながら曲ができてきた。
畳野
そうそう、住みながら前の町を思い出すっていうこともできるから、それが歌詞のなかにも含まれてると思うし、前の町を出てとか。

福富くんの歌詞には特にそのモチーフが出てますよね。“レモン・サウンズ”とか。2013年の良くない思い出もしのばされてる気がします。

福富
直接はあるようなないような差し込み方なんですけど、“レモン・サウンズ”と“グレート・エスケープ”と“ペーパー・タウン”はその町に住んでたときのことを思い出しながら書いてますね。“ダンシング~”だけ違って、穂那ちゃんのおねえちゃんが結婚するからってので結婚ソングとして書いて。僕のロマンチックの全てが詰まってるんですけど。ロマンチックでしょ?
畳野
トミーの歌詞は独特だよね。私はこの人自分のことばっかり書いてると思うと、すごく恥ずかしいというか探っちゃうから、あえてあんまり見ないようにしてて。これなんのことだろ?って思っちゃうから。でも、あの人は私の歌詞を見るのがすごい好きで(笑)。“サムホエア”の歌詞とか、いやあ良いなあとか言いながらずっと見てた。

ははは(笑)。

畳野
私もトミーの歌詞は全然好きなんですけど、“レモン・サウンズ”とか。上手なんですよ、文章書くのとか。本とか好きだし。だから上手いし、おもしろい。今回のアルバムでどうこういうなかで、うちもトミーも「歌詞を見てくれ」ってめっちゃ言ってる。曲がどうこうもあるけど、とにかく歌詞を見てほしいっていう感じが強い。

コミュニケーションの切なさも通奏低音になってる印象です。かつてはわかりあえたように思えた人の心が今はもうわからなくなってたりとか。それは福富くんの“グレート・エスケープ”、畳野さんのシングルの2曲や“サムホエア”に共通している。

畳野
私はたぶんすごい女の子だったとき、中学の頃の記憶とかをたぐりよせて書いてるんだと思う。
福富
僕は2013年が一番女の子だったから。インタビューで言うようなことじゃないけどいろいろあったし。その自分にあったことと映画とかを照らしあわせて、落としこんでる感じ。

福富くんの歌詞には福富くんが出てくるけど、畳野さんの歌詞に畳野さんは出てこない。じゃあ、畳野さんの歌詞に福富くんが出てくることはあると思う?

畳野
うーん、チラリとも顔を浮かべたことはないですね。
福富
僕の歌詞は全部彩加さんやのに!
畳野
ひゃっはは!重て~(笑)。読む気失せた。誰も思い浮かべてないから、私。書いてるとき。元カレとか彼氏との経験とか。まったく関係してないし。

でも、良い歌詞を書こうって意思はあるでしょ?

福富
そう。そして今回とか良いから、それがどっから出てきてるのかすごい不思議。
畳野
自分の過去でもないし理想でもないし、なにかがインスピレーションになってるわけでもないし、なんだろうな。

良い歌詞ってのを2人に定義してもらうとすれば?

畳野
今回そのいろんな和訳を読んだんですよ。プリファブとかベルセバとかビークルとかも。そっからヒントをえてるのかなー。良いと思う感覚を寄せ集めて出してるのかな。私はけっこうプリファブの和訳が印象的で。絶妙に気持ち悪い感じにグッときて。あんまり直接的な表現をしてないほうが好きかも。あんまり上下つながってない感じが好きで。つながんないし意味分かんないけど、なんかわかる気がするってくらいの歌詞が好き。つながってる気がするくらいの。

そういう意味だと、やはり“ゴースト・ワールド”が最高傑作な気がします。

福富
“ゴースト・ワールド”は最後の2ヴァースは僕なんですよ。

そうなんだ!いや確かに違和感があったというか、この名刺を並べていく感じは福富くんですよね。

畳野
うん。Cメロと最後の展開はトミー。
福富
最後の曲であわさるというか。その前の“ペーパータウン”の歌詞もいいし、9曲目、10曲目がね。エンドロールが2回ある感じというか。『オズの魔法使い』で足をトントンってやって帰ってくるじゃないですか?その感じ。
畳野
私もエンドロール2つってのは意識してた。“ペーパータウン”で終わらせないってのは。“ペーパータウン”はエンドロールみたいな曲を作ろうってので作ったので。『(500)日のサマー』で最後にかかるマムラの曲を参考にして。

曲順は全体として当初描いたとおりになった?

福富
2、3曲目をどうするかってのは迷ったね。“ダンシング~”と“グレート・エスケープ”の順番は。
畳野
今となってはこの順ですごい良かったと思う。
福富
ゴーイング・アンダーグラウンドの“ミラージュ”が3曲目にある感じ。ゴーイング・アンダーグラウンドの歌詞が一番良いよなー、いやスピッツかなー。やっぱり日本のバンドになっちゃいますよね。日本のバンドの日本語詞が。

でも、そこはホームカミングスは禁じ手にしてるわけじゃない?

福富
うん。日本語には消極的っていうか。
畳野
私、日本語でやってほしいとか日本語で歌ったらいいのにとか言われるとちょっとムムってなる。「ですよねー、ゆくゆくはねー」とか言いながらも。
福富
そうやなー。個人的にも他のバンドに対してもそういう風に思ったことないからなー。そういう感覚がわからん。まあ可能性として、今はないかなー。
畳野
皆無。
福富
さっちゃん(平賀)とならアルバム作りたいと思うけど。
畳野
それなら可能だな。

でも、平賀さんと“白い光の朝に”であそこまでうまくはもれた理由はなんだったんだと思います?

福富
僕は逆に何もなかったのがむしろ良かったのかなって。ほんと何もなかったんですよ、共通点。だから、すっごい自然にスーパーナチュラルに、あの曲自体も話しあったりせずに、ほんとうに素でぽっとできて。

お互い特定のシーンにいないところが、似てるのかもしれませんね。

福富
自分らのちょうど良い立ち位置ってないやんな?
畳野
ないない。ほんとにない。「これはやだ」ばっかりやもん、うちらも。
福富
今、ホームカミングス、ハイハワ、オッド・アイズってのももうないじゃないですか。2013年はあったかもしれんけど。それは僕ら的にもいざそうなってみると、こう括られんのもちょっと違うなーってのもあったし。
畳野
ちょっと居心地悪かったかな。
福富
僕らも思ったよりパンク寄りじゃなかったし。メテオナイトとかに出るような感じではなかったよな。
畳野
でもそういう人たちにも好かれるよね。嬉しいけど。
福富
今はどうなんやろな。ハイハワとかの流れでKっぽいって感じとかで。
畳野
昔来てくれてたインディ好きの人たちも最近離れとる気がするしなぁ。
福富
バンドの絡みは薄くなったけど。お客さんは残ってくれとると思うけどね。
(後編に続く)

“GHOST WORLD” Tour

名古屋・鶴舞K.Dハポン

2015.01.30[金]OPEN 18:30 / START 19:00
LIVE:Homecomings / Yogee New Waves / car10
前売:2,800円(ドリンク代別途要)
チケット予約:K.Dハポン 052-251-0324 / kdjapon@gmail.com
メール予約:ticket@secondroyal.com まで、公演日/イベント名/お名前/枚数を明記ください。
お問い合わせ:K.Dハポン (052-251-0324)
企画・制作:SECOND ROYAL RECORDS 協力:felicity

大阪・心斎橋Live House Pangea

2015.01.31[土]OPEN 18:00 / START 18:30
LIVE:Homecomings / Yogee New Waves / car10
前売:2,800円(ドリンク代別途要)
ぴあ(P:249-740) / ローソン(L:54716) / e+ / FLAKE RECORDS店頭 / JET SET KYOTO店頭 / SECOND ROYAL SHOP店頭
お問い合せ:SMASH WEST (06-6535-5569) smash-mobile.com
企画・制作:Second Royal Records / SMASH WEST 協力:felicity

岡山blueblues

2015.02.01[日]OPEN 19:00 / START 19:30
LIVE:Homecomings / Yogee New Waves / aaps / ロンリー
DJ:DJ waki
前売:3,000円 当日3,500円(ドリンク代別途要)
チケット予約:モスラミュージック mothramusic2013@gmail.com
メール予約:ticket@secondroyal.com まで、公演日/イベント名/お名前/枚数を明記ください。
お問い合せ:blueblues 086-227-5000
主催:モスラミュージック

福井velvet

2015.02.27[金] OPEN 19:00 / START 19:30
LIVE:Homecomings / ザ・バンジーズ
DJ:MAKOTO / ナカノセバスチャン
前売:2,000円 当日:2500円(ドリンク代別途要)
主催:NOTORIOS ROCK

velvet(くら寿司幾久店前)
福井市大宮1-11-35 近藤ビル1F(京福バス幾久新田塚線幾久バス停すぐ)

愛媛・松山サロンキティ

2015.02.28[土]
LIVE:Homecomings and more
主催:ROCK TRIBE

東京・下北沢SHELTER

2015.03.08[日] OPEN 18:30 / START 19:00
LIVE:Homecomings / Hi,how are you?
前売:2,800円(ドリンク代別途要)
ぴあ(P:252-026) / ローソン(L:75785) / e+ / GAN-BAN店頭 / 下北沢SHELTER店頭
お問い合わせ:HOT STUFF PROMOTION (03-5720-9999)

京都MUSE

2015.03.15[日] OPEN 18:00 / START 18:30
LIVE:Homecomings
Opening Act:土井玄臣
前売:2,500円(ドリンク代別途要)
ぴあ(P:252-130) / ローソン(L:51310) / e+ / FLAKE RECORDS店頭 / JET SET KYOTO店頭 / SECOND ROYAL SHOP店頭
問い合わせ:SMASH WEST (06-6535-5569) 
企画・制作:Second Royal Records / SMASH WEST

Profile

京都在住、女の子3人+ 男の子1人の4ピース・バンド。「FUJI ROCK FESTIVAL'13」「下北沢インディーファンクラブ2013」「ボロフェスタ2013」出演に、Veronica Falls、Computer Magic、Norman Blake(Teenage Fanclub)といった海外アーティストとの共演、自主企画「Special Today」の開催など、2012年の結成から飛躍的に活動を展開中。これまでに『Homecoming with me?』(2013年 CD/10inch)、『I Want You back』(2014年 CD/7inch)、平賀さち枝とのコラボシングル『白い光の朝に』(2014年 CD)をリリース。2014年12月24日、待望の1stフルアルバム『Somehow, Somewhere』をリリースした。